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―午前3時10分―
隣の大我の部屋の中で物音が激しく響き渡った。ガタガタ。零香は、物音のせいで起き上がり大我の部屋の前まで歩み寄った。
『何の音?兄貴の部屋の方から聞こえるんだけど』
零香は扉をそうっと開け、開けたわずかな隙間に大我の部屋を覗いた。
『!!!』
零香は、息を呑んだ。
覗いた大我の部屋の中に、背中に大鎌を背負い、黒いローブを着ている、神谷大我の姿を見てしまった。
『何あれ?コスプレ?』
すると彼の部屋の壁に、円形のような、黒い穴が現れた。大我は、その穴に吸い込まれるようにして、中へと入ってしまった。
それを見た零香は、大我の部屋の扉を勢いよく開け、円形の形をした黒い穴を見つめた。
『嘘よね…これって夢?でも行ってみるしかないよね……よし行こう!兄貴の秘密がわかるかも』
零香は、助走をつけ、咆哮と共に、黒い穴の中に飛び込んだ。
辺りを見渡すと、まったく何も見えない、真っ暗な空間。
『!』
眩しい光りが、後少しの距離に迫っていた。
そして眩しい光りの穴の中へとくぐり抜けた。
零香は仰向きに倒れ込み目を開いた、その時、人間の住む世界とはあきらかに違ったように思えた。
雲ひとつない黒い空。広大な砂漠。なにより、町が一つも見当たらなかった。
『ここは一体何処なの?』
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