第1話『神谷零香』

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『先生って!兄貴の担任だったの?』 零香の質問に、岡田先生は答えた。 『そうだよ…大我は8年ぐらい前に担任をしていたよ。まさか…妹が居るとは知らなかったよ!大我は就職とかしてるのか?』 岡田先生の質問は零香にもわからなかった。自分の兄が何の仕事をしているのかもわかるはずもなかった。本当は一番知りたいのは彼女の方だ。 『すみません…ウチもわからないんです。兄が何処で仕事をしているのかも!』 『そうか…でもアイツは、頭もよかったし、何でも出来た。優秀な生徒だったよ』 彼女は、岡田先生の言葉はまるで気遣ってるように聞こえた。 『ありがとう…先生!じゃあ…もう帰ります!さようなら』 『待て。神谷!何かあったら先生に相談しろよ。話聞いてやるから』 『ありがとう先生。でも大丈夫だから』 校門を通り過ぎ、零香は視線を横に向けた。 そこには零香と同じクラスメートの新崎ルカがたたずんでいた。 『ルカ?何してるの?』 新崎ルカは驚い表情を浮かべ零香を見返した。 『零っ!零香…帰るの遅いんだね…ハハハ』
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