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首を左右に傾けると、ゴキゴキと物凄い音がした。
やっと仕上がった調査報告書に目をやる。
気力の限界が近いせいか我ながら汚い字である。
まぁ、調査報告書の作成を押し付けた上司のミミズのぬたくったような字よりはマシだろうが。
今年の春に有聡が配属されるまで、上司のミミズ文字は誰にも解読不可能で、調査報告書は口述筆記で作成されていたという。
なぜか自分だけがミミズ文字を解読でき、上司の報告書作成が専権事項となった当初は、運の悪さを嘆きもしたものだが。
「相変わらず凄い・・・」思わず感嘆の呟きがもれる。
自分との歴然とした差に叩きのめされながらも、新人でしたっぱの有聡には到底真似できない仕事ぶりを克明に知ることができるのだ。
それは今の有聡にとっては、万金にも勝る価値のあるもの。
その束をもって立ち上がり、有聡は急いで探題庁に向かった。
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