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麗奈が私に服を渡そうと、近寄ってくる。
私は、それを背にして、フェンスを跨ごうとした…その時。
「オイッ!アンタ!!何してんだよっ!!!」
最が私を引き止めにかかった。
見ず知らずの人に私の死を止める権利なんてあるはず、ないのに。
ホントは、静かに逝きたかったけど、やむ終えない。
こんな、ワケのわかんない所にいるよりも、マシだ。
「――ッほっといてっ………………くださいっ!!」
最が私を引き止めようと後ろから必死に引っ張る。
私がちょっと気を緩めた途端、力のバランスが崩れてしまったのか、尻餅をついてしまった。
結局、男の子だからなのか、最の力にはかなわず、フェンス越えはできなかった。
「あのさ…、会って早々に死のうとするヤツがいるか?ってか、ビックリしたわ、マジで。」
最は、驚きと呆れが混ざりあったような表情をしていた。
「いないですね。…普通は。どっかいかれているんでしょう。」
「麗奈、そんなキツいこと言うなよ。ってか、ちょっと黙ってくれ。」
「気は乗らないけど、了解です。」
麗奈は若干不満そうに口をつぐんだ。
「ゴメンな。アイツ、いつも一言多いんだ。あんま気にしないでくれよ。」
なんか申し訳なさそうな顔をして、最は言った。
「とりあえず、着替えて、別の場所で話そうか。
…麗奈、とりあえずいつものメンツ集めて、エブリに集合って言っといて。」
「ホント、人遣いが荒いですね。了解ですけど。」
まあ私も先に行きますけど、と一言残して、麗奈も去って行った。
再び、私と最だけの二人の空間が生まれた。
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