東部第3地区

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 血飛沫が上がる。  無様に倒れる骸。さっきまで息をしていたそれはもはや肉塊でしかない。 「毎度ありがとよ」  そこにはやはりブリスキンが立っている。  数秒前まで俺にライフルを突き付けていた敵。ここぞというところで人は油断をするものだ。 「そいつはどうする?」  身ぐるみを剥がされた敵は虚しく立っているだけだった。 「捕虜だ」  これが戦場。追い詰めたと思えば、追い詰められる。攻め込んでいると思えば、攻め込まれる。殺そうとすれば、殺される  敵を殺すことではない。戦争の勝利ではない。ただ、生き延びることが重要なのだ。  一人で生きていくのが困難な二人は、二人で生き延びていかなければならない。  それが戦場。戦場での生き方。  そんな屈強な二人も、何万という兵士の中のたったの二人。軍の中のほんの一部、細胞(セル)の一つでしかないのだ。  だからこう呼ばれている  生きている細胞(Living Cell)  又は  Survive Cell(生き延びる細胞)
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