東部第3地区

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 すぐに立ち上がり、ハンドガンとナイフを握り直す。 「手榴弾か」  俺はすぐに理解した。自分の背後に居たブリスキンは視界に転がり込んだ手榴弾にすぐさま反応。そして、被害のない所へ飛び込んだというわけだ。 「5人ぐらいかね」  慣れというのは怖い。こんな時敵はいつも5人だ。 「まだ分からんけどなっ」  咄嗟に引き金を引いた。目の前に死体が一つ転がる。 「こっちだ」  すぐに二人は歩きだした。背中越しにどこへ行くのか伝わって来る。前後を特に警戒しながら、横道にも注意を払う。 「また来るぞ」  足音が近い。  今度は自分の目の前に金属の塊が転がる。  さっきのような逃げ場はない。  すぐさま構えていたハンドガンは、目標物の隅を狙う。  迷う時間はない。引き金はすぐさま引かれる。
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