夢の中#1

2/12
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
 また、あの夢を見た。  世界の背景は余すことなく白。建造物はおろか、生物も、自分以外何もない世界。その中で自分の身体の動き、感覚だけがこの世界を支配している、奇妙な世界の夢。   「また、ここか……」     これで、この世界に来たのは何度目になるのだろう。   10回?それとも20回?   考えても答えはでない、所詮は夢の中。あるいは自分の脳による乏しい記憶力のせいなのか、具体的な数字を求めるのは浮いている空気を掴むような話だった。    自分以外に何もないこの世界に来てすることと言えば二つだ。一つは目が覚めるまで寝転がり時間が経過するのをひたすら待つ事。目が覚めるまでと言うが、起きるために夢の中で寝るというのはこれまた奇妙な感覚と言える。   二つ目は背景が全くと言っていいほど無いこの世界を捜索して何かを発見すること、子供じみた言葉を使えば一種の探検または冒険といったところだろうか。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!