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はぁっ、はぁっ…!
どこに行ったんだフェリア、さっきまで隣にいたはずなのに…。
俺は今、フェリアを探して街中を駆け抜けている。
ほんの少し離れていたらはぐれてしまっていたのだ、なんだかいやな胸騒ぎがする…!
…いた! だが様子がおかしい、見た目に軟派な男二人に囲まれてる、即座に絡まれてることを理解する俺、一目散にその場へ向かおうと足を出した時、男の片方がフェリアの手をつかんだ!
「そんなつれねぇこというなよっ!
「いやっ!」
「ッ! そいつから離れろぉぉぉっ!」
ドゴオッ!!!
刹那、響き渡る轟音、誰も予想だにしていなかっただろう事態に、辺りの空気が凍り付いた、当事者はおろか、周りの傍観者まで、すべての人間が口をあんぐり開けていた。
事態を予測してたので冷静な俺が、ありのままに起こったことを言おう。
男の手を払おうと振り払ったフェリアの腕が
『手が振り払われるより早く男を投げ飛ばした』
哀れ宙を舞った男はそのまま通りの壁画となってピクピクと痙攣していた。
そしてその状況を飲み込んだのか、男の連れが動き出した。
「て、てめぇ何しやがる!?」
フェリアに向かって拳を振り上げたのだが状況を考えろとしか言えない。
「いやっ!」
ドグォ!
言わんこっちゃない、男を拒否しようと突き出したその両手が深く打ち抜く、鳩尾辺りを。
フェリアが慌てて手を抜くと男は体を震わせて地面へと崩れた。
フェリアはどうしたらいいか分からずおどおどしている。
「まったく、逃げるぞフェリア」
「きゃ…、だ、大和さん!」
急いで彼女の元へ駆け寄ると、その手を掴んで俺達はその場から離れた。
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