19人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、俺達は少し離れた公園に駆け込んでいた、まぁ追いかけてくることはないとは思うが…。自販機で飲み物を買い、ベンチに座らせたフェリアに一本渡す
「大丈夫か?」
「はい、少し落ち着きました」
確かに呼吸は落ち着いている、だがその目には若干涙が溜まっているようだ、怖かったのだろう。
…いやまぁ男どもの方がよっぽど恐い思いをしたのだが。
彼女には一つ秘密がある。
それがこの怪力だ。
普段は形を潜めているが、感情が高ぶると動力経路が正常に働かなくなる、そんな秘密。
ロイドの根幹に関わる部分なので、直すのは不可能だそうだ。
なんでそんなことになってるのか、話せば長くなる、ので割愛。
フェリアは落ち着いたように振る舞っているが、目に涙がたまっているし、体が震えてるのが丸わかりだ。
さて、どうするか、こう言うのは苦手なのだが…。
ふと、前に見たドラマを思い出した俺はフェリアの隣に座り肩を抱いてその体を引き寄せてみた。
するとフェリアが寄りかかってくる。
選択の成功に安堵した俺は彼女の震えが止まるまでそのままでいた。
やがて、日も傾いてきた頃、フェリアが落ち着いてきたのをみて、おもむろに立ち上がる。
「今日は疲れたな、帰ろうか」
「はい、あの…」
歩き始めた俺は彼女の呼びかけに振り返る、と、目に入ったのは手を差し出し、俯く彼女で。
「…ん」
ズボンで手を拭きその手を握る。
きっと彼女は顔を赤らめてるだろう、ただその顔を見ようとは思わない、なぜって、そりゃ俺の顔が熱いからさ。
「…離さないでくださいね」
「…あいよ」
最初のコメントを投稿しよう!