とある、ご褒美

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「すー…はー…」 「すぅ…はぁ…」 フェリアのお願いを実行するため、正座で向かい合う俺達、どちらからともなく深呼吸し、心を落ち着かせる 「よ、よし、撫でるぞ」 「は、はいっ」 意を決し、恐る恐る手を伸ばす、フェリアは緊張した面持ちで目を閉じ、身構えている。 スッ… 「んっ…」 髪に触れた瞬間、ピクンと反応したフェリアに驚き手を離す。 今度は脅かさないようにゆっくりと軽いタッチを繰り返し、徐々に髪に触れる時間を伸ばす…そして彼女が慣れたのを見計らい、優しく手を乗せ、頭を撫でる。 フェリアは目を閉じたまま、顔の赤みが増していく。 手入れの行き届いた髪は、まるで絹のように艶やかで、さわってるこっちが心地良い。 「大和さんの手、大きくて温かい…」 薄目を開け微笑むフェリア、そんな彼女を見ると自然と鼓動が早くなる…。 まどろみの午後、髪を撫でる音だけが無音の室内に響く…。 いつの間にかあっていた目線、離すことなく見つめ合う。 ゆっくりと閉じられる青い瞳、フェリアがこの先を求めている、何故かそんな気がした… あれ? 顔…こんなに近かったっけ…? 「ふあっ…」 「っ!!!」 フェリアが不意に発した艶やかな喘ぎに、俺は飛び退くように手を離した。 「ご、ごめんなさい…ちょっと耳に当たったからびっくりしちゃいました…」 そう言われ、見るとフェリアの頭に生えた愛らしい猫耳がしゅんと垂れている。 「い、いや、謝らなくていいよ、ビックリさせて悪かった…」 「いえ…あの、ありがとう…ございました…」 「あ、あぁ…どういたしまして」 「………」 「………」 訪れる沈黙に俺は顔を下に向ける、鼓動がフェリアに伝わってしまうんじゃないかと思うくらいに脈打っている。 「わ、私お買い物いってきますね」 「あ、あぁ…頼んだ」 耐えきれなくなったのか、フェリアはそう言って支度し、いってきますとそれだけ口にして外へと出ていった。 一人残された俺はつい今しがたのことを思い出す。 もし、あのままだったら… 「馬鹿か俺は…彼女は…」 その先は言わなかった、 言えなかった? 言いたくなかった? 自分でも…分からなかった。 END
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