とあるアイドル

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「それでは、MCC10の皆さんで、ハロー、マスター! お聞きください」 ♪~ 司会者の紹介が終わると、軽快なリズムとともに楽しげな曲が流れ、リズムに乗せて次々と画面に映されるメンバーの笑顔、そして元気な声で歌は始まり…。 「わぁ…綺麗ですね~!」 「そうだな」 夕飯時、箸を止め、これ以上ないくらいに目を耀かせてテレビを見つめるフェリアに、俺は概ね同意する。 実際画面に映し出されるメンバー全員が10年に一人の逸材なんて言われそうな美貌ではある。 10年どんだけ短いんだ、なんて突っ込みはなしだ。 まぁその理由は至極単純で、それはMCC10がマイロイドで構成されるアイドルグループだからだ。 毎月の始め、応募されたマイロイド達の中から投票でメンバーが選ばれ、毎月一曲歌うのが主な活動内容。 自分の愛でるロイドをお茶の間に披露できるとあって、一部のマイロイドマスター達から絶大な指示を得ているらしい。 相も変わらずテレビに釘付けなフェリアに俺は少し疑問を持ったので、フェリアの唐揚げを摘まみつつ聞いてみた。 「フェリア、あのメンバーになりたいの?」 「え、ええっ!?」 するとテレビに釘付けだった目を見開いて、こちらに振り返った、表情は驚愕に満ちている。 「む、無理ですっ! は、恥ずかしさで死んじゃいますよ!」 手を振り首を振り、全身全霊を持って否定してくる姿が可愛くて少し笑ってしまう 「そんなに否定しなくてもいいのに」 「あう…すいません…」 「責めてないって」 しゅんと耳を垂らし俯くフェリアに思わず苦笑する。まぁ引っ込み思案な性格だし、乗り気にはならないよな…。 なんて考えていると、何か決心したような目でフェリアがこちらを見た。 「大和さんは私を出したいと思いますか?」 「へ?」
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