とある想定外

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「ふぁ~…あ…」 さも暇だと言わんばかりに欠伸とともに背伸びをしてみる。 時は3時前、自宅アパートの通路、本来は5時までバイトだったのだが、客の入りが悪く商品があまり売れなかったため、いつもの半分で製造作業が終わってしまったのだ。 接客も十分だったので早く切り上げることになり、今に至る。 早く終わるのは別に良いけど、時給に響くなぁ…。 なんて考えながら我が家のドアを開ける。 「ただいま~…ん?」 家に入ると、部屋の中から音楽が流れていた、落ち着いていて少し洒落た曲。 きっとフェリアがかけているのだろう、今日は特に予定はなかったはずだから。そう思って俺は特に気にすることなく、短い廊下と部屋を繋ぐドアを開けた…。 「………」 そこで俺は動きを止める。自らの意思などない、想定外の事態が起きたとき、人はこんなにも簡単に行動を停止させてしまうのか。 ただいま、そんな短い言葉さえも口で紡ぐことができなかった。 驚愕、困惑、疑念、焦燥、様々な感情が頭を駆け巡る まぁ…一言で言うならビックリした… 「~♪」 鼻唄を歌いながら鏡の前でポーズをとるフェリアがいたのだから…。
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