Challenge 1 ― 逃げ出した花嫁 ―

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「スミマセン、シツレイシマス」  聞こえたのは、日本語だ。  途端にホッとして向き直る。 「はい、何でしょう?」  思わず笑顔になる。 「アナタ、ニジョインサン……デスカ?」 「はい、二条院ですけど――?」  今度は不思議そうな顔をした信彦に、金髪のその人は続けた。 「ワタシ、コレ、アズカリマシタ。ヒコウキノナカデ、トナリニイタニジョインサンニ」 「えっ?」  差し出されたのは一通の封筒。  こんな物を残して、本人が居ないという事は――  どうやら、嫌な予感は的中したようだ。 「タシカニ、ワタシマシタヨ」 「あ、すみません。ありがとうございました。ハ……ハブ、ア、ナイスデイ」  取り合えず覚えている英語で挨拶してにこやかに手を振ると、ポケットからハンカチを取り出して信彦は汗を拭いた。
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