Challenge 1 ― 逃げ出した花嫁 ―

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 傍の椅子に腰掛けて、直ぐに封筒を開ける。  目に飛び込んだのは、見慣れた兄の文字だ。 『信彦、出迎えご苦労様。せっかく来てくれたのに悪いけど、僕は家には戻らない。今後の予定はちゃんと消化するから心配しないようにと、父さんと母さんに伝えてくれ。じゃあな』 「『じゃあな』じゃ無いだろう。―― どうするんだよ、今日の顔合わせ」  予想通りの展開に盛大に溜息を吐いて、信彦は天井を仰いだ。  それから急いで車に戻ると、雅晴の立ち回りそうな所に片っ端から電話を掛けた。  しかし何処へ掛けても何故か誰も雅晴からの連絡を受けておらず、それどころか帰国する事さえ知らなかった。 「兄さん……いったい何考えてるんだ」  信彦は頭を抱えた。  このまま家に戻れば、父の雷が落ちる事は間違いなかった。 ★.。.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚
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