286人が本棚に入れています
本棚に追加
/262ページ
傍の椅子に腰掛けて、直ぐに封筒を開ける。
目に飛び込んだのは、見慣れた兄の文字だ。
『信彦、出迎えご苦労様。せっかく来てくれたのに悪いけど、僕は家には戻らない。今後の予定はちゃんと消化するから心配しないようにと、父さんと母さんに伝えてくれ。じゃあな』
「『じゃあな』じゃ無いだろう。―― どうするんだよ、今日の顔合わせ」
予想通りの展開に盛大に溜息を吐いて、信彦は天井を仰いだ。
それから急いで車に戻ると、雅晴の立ち回りそうな所に片っ端から電話を掛けた。
しかし何処へ掛けても何故か誰も雅晴からの連絡を受けておらず、それどころか帰国する事さえ知らなかった。
「兄さん……いったい何考えてるんだ」
信彦は頭を抱えた。
このまま家に戻れば、父の雷が落ちる事は間違いなかった。
★.。.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚
最初のコメントを投稿しよう!