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「これって、日本では正当防衛でも使えないんでしたっけ?」
「う……嘘だろ?」
ナイフを持った男たちは、驚きの声を上げた。
男性の手には、黒く光る銃が握られていたのだ。
「アメリカでなら、もう撃ってもいいタイミングなんですよね」
真っ直ぐに腕を伸ばして、三人のうちの一人に狙いを定める。
「このあいだハーレムに遊びに行った時、弾丸と一緒に子供から買ったんだけど、せっかくだから一度くらい使ってみたいと――」
「おい! ヤバイぜこの男」
「ずらかるぞ!」
「お……覚えてろ!」
直後、男たちは真っ青になって、転がるようにその場を後にした。
「何か決まりきった台詞だな。もうちょっと気の利いた事、言えないのかなぁ」
肩を竦めて銃をポケットにしまった男性が、道路の隅でしゃがみ込んでいる杏樹を振り向く。
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