Challenge 1 ― 逃げ出した花嫁 ―

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「ママ!」 「あなた何をしているの !?」  手摺から身を乗り出して問い掛けた喜代子に、杏樹は首を横に振った。 「ママごめんなさい。でも私は、人に決められた道を歩いて行くのなんて嫌なの。自分の進む道は自分で決めるわ」 「自分でって何処へ行くの !? 杏樹!」 「奥様、どうかなさいましたか?」  喜代子の声を聞き付けて、勝手口の方から運転手の川口が飛び出して来た。  このままでは、川口に邪魔されてしまう。  そう判断した杏樹は、急いで裏口を抜けて駅の方へ向かって走り出した。 「川口さん! お願い、杏樹を止めて!」  その声に弾かれるように、川口がすぐに杏樹の後を追う。  しかし、旧家の立ち並ぶ複雑な路地に阻まれて、杏樹の姿はあっという間に分からなくなってしまった。 ★.。.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚
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