1人が本棚に入れています
本棚に追加
「メル…わたし怖いの」
チョココロネをようやく食べ終えたカラが三角座りをしながら震えた。
手造りのツリーハウス、隙間風だらけで拙い継ぎ接ぎの壁は俺達を馬鹿にしているようだった。
「大丈夫だ、大人が始まるんだぜ?」
俺達の誕生日は5月25日、今日で18歳…。
「見てみろよ!世界の崩壊が始まった」
「やっぱり嫌!!子供のままでいいわ!!!!!!」
泣きわめく少女!カラ!
この時初めてカラは俺の一歩後ろへ下がった!俺は宇宙の王になった心地がした!吹き抜ける風がひどくなってくる。向こう側の景色はもう消えてしまったようだ。
「どんどん近づいてくる」
呼吸すらもままならない。急激に過ぎる時間が俺達を引き裂こうとする。俺はカラの手を掴んで離さなかった。大人の始まりは避けられない…逃げられない現象であるから…。俺は良かれと思ってたんだ。
寸前まで世界は崩壊し地平線は再構築を始めた。
握りしめた彼女の手は汗ばんでいて震えていた。俺はしめた!と思った。思い出が消え去っていくのも気にならなかった。俺達は未来を生きていくのだ。
最初のコメントを投稿しよう!