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「アイシャ、あなたは人間です。
あなたなら人間達を止められる」
優しい黄金の瞳が、アイシャをしかと見据えた。
吸い込まれそうな美しい瞳に誰が抗えようか、アイシャは無意識のうちに頷いていた。
アイシャが何もしないまま、数日が過ぎた。
イシュタルには簡単に約束してしまったが、大人達の行動をまだ幼いアイシャが止められるわけがない。
ましてやその頂点にいる神官長なんて、そう簡単に会える人物ではなかった。
やらなければならないと思いつつ、人間の友人達との遊びや家族との団らんに時間は費やされ、その後ろめたさからアイシャはよく溜め息をつくようになる。
それを心配した両親が、アイシャに何を悩んでいるのかと尋ねた。
(助かった!)
その時アイシャはそう思ったに違いない。
約束を果たせないという思いから、大好きなドラゴン達にも会えなかったのだから。
苦しかったアイシャは全てを話だした。
父が爽やかな笑顔で、アイシャの頭にポンと手を置き、何とかすると約束してくれた。
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