記憶の欠片

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大人達は東の地に神殿を作り、西の地に再び巨大な建造物を作っていた。 それは螺旋を描く白い階段、今はまだそれほど高くないが、天まで届く階段を作ろうとしているらしい。 「全く、人間のすることにはロクなことがないな、すぐにやめさせろ!」 イタクは憤慨しているようだった。 溜め息をつくアイシャ。 「イタクの言うことだったら、みんな聞くと思うよ、だってイタクは神様だもん」 この気が強いドラゴンは大きな白い立派な牙を見せた。 「その時に人間を一噛みぐらいするかもしれぬぞ?」 「悪い冗談はお止めなさい」 白いドラゴンが静かにたしなめる。 いくらイタクでも母であるイシュタルには、頭が上がらないのだ。 「ですが……わたしたちドラゴンが人間のやろうとしていることに干渉するのは、あまり良くありません。 ただでさえわたし達を神として崇めている人間達にとって、我々が力を示せば必ず反抗心が芽生える。 それはいつか争いを呼ぶでしょう」
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