1人が本棚に入れています
本棚に追加
――まただ。
アタシは、ゆっくりと大きなため息を吐き出した。自分の部屋の、使い慣れた布団の中で。
唐突に覚めてしまった目を擦る。
ああ、未練がましい。
「まだ5時…」
小さな声で呟く。
横を見れば、妹の秋奈は規則正しい寝息をたてている。
またため息。
頬に筋を残す泪の跡を手のひらで乱暴に拭って、アタシは布団から起き上がる。壁にかかった紺のセーラー服が目に入り、アタシはそれを恨めしげに睨んだ。
同じ朝が巡ってくる。
そんな当たり前な事が今は大嫌いで、憂鬱で、ひどく鬱陶(うっとう)しい。
最初のコメントを投稿しよう!