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「……っう」
唇を噛んで嗚咽をこらえる。歪んだ視界のまま、卒業式の後にみんなに書いてもらったカラフルな寄せ書きを見つめた。
卒業してすぐ、アタシ達家族は日本に帰ってきた。
そこは、アタシの居場所じゃなかった。
全部違って、全部に違和感があった。
「…っ……帰りたいよ」
一体、どちらがアタシの‘ウチ’なのか。それさえ不確かだ。
秋奈が、今度は寝返りをうつ。眠そうな目がこちらを向いたから、アタシは慌ててアルバムをしまって泪を拭いた。
「なつ姉、起きてたの?」
「うん、さっき。時間割、し忘れてるの思い出した」
「ふぅん。」
秋奈はまた布団に潜り込む。
盛大にため息をついてから、アタシは中学校の指定カバンを手に取った。
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