玉響ラプソディ

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セーラー服に着替え、リビングに行く。父さんはニュースを見ながら、もう朝ご飯を食べていた。 いつも通り、6時半に秋奈が起きてくる。 「パン、何枚?」 ぼんやり見ていたTVから視線を外し、アタシは立ち上がってキッチンへ。 母さんは低血圧で、朝は起きてこない。 「一枚。牛乳ってまだあったっけ?」 小学5年生だと言うのに、まだピカピカな秋奈のランドセル。それを重そうに床へと投げ出す。 「あ、ない。アキ、母さんにメモ書いておいて」 「えー」 アタシが開けた冷蔵庫の扉をアタシの肩越しに覗いて、秋奈は不服そうな声を上げた。 その肩を押し、シッシっと手を振ってやった。 鈴木夏美、中学1年生の5月。 こうして、また憂鬱な一日が始まる。
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