玉響ラプソディ

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「今日は来週の遠足についての話をします。」 級長(学級委員長)が黒板の前に立って、笑顔で言った。その後ろで書記係が、チョークを動かしている。 総合の時間。 行き先は某テーマパークらしい。終日、班行動だ。アタシはぼんやり黒板の文字を見ながら、そっとため息をついた。 突然、肩に何かが触れた。後ろの席のカナちゃんがアタシの肩を叩いたらしい。 ゆっくりと振り返ると、眉を下げて笑うカナちゃんと視線がぶつかった。 「ん?」 「なっちゃんと班、一緒で良かった…」 「そうだね」 アタシも笑顔で返す。幼稚園からの友達で、アタシを変に特別視しない子。優しくて、少し引っ込み思案な。 アタシは知っている。 カナちゃんは、クラスの子達に避けられていること。
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