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一様、今日は貴方様にお伝えせねばならぬ事があります。
そう話を切り出した奈津姫様。
普段は無邪気な貴女が何故そのような悲しい顔をしているのか。次の言葉で俺はその表情の意味を知った。
「私は、嫁ぎに行く事が決まりました。」
涙を流して、それでも無理矢理笑顔で言った貴女はやはり大名の御息女なのだろう。
全て生まれついての運命が故…そのような表情だ。
「嫁ぐ事は仕方ないとて、相手のお歳は60越えた方でして…ふふ…笑ってしまいますわ。」
「しかし…姫様はまだ齢16にて、何故そのような方と」
年上に嫁ぐのは普通の事だが、あまりに年が離れすぎている。
「私との祝言を条件に一国頂けるそうよ。」
父様の言うことは絶対、でももうそんな事はどうでもいいの。
全てを諦めたような言葉を吐き捨てた後、俺を見つめて発した一言。
接吻して下さい。
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