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「ねぇ、葉月さん」
「なーに?」
今日は僕は非番、葉月さんは仕事までに時間があるから彼女の家でお茶をしてる。
「いつになったら、辞めるの?」
唐突だけど聞いてみる。嫌なんだ、彼女が野蛮な奴らに汚い目で見られるのが…
無理な事は重々承知だ、遊郭で働いてるからこそ何とかやってけるんだから。
それでもあわよくばって考えを捨てきれない自分がいる。
「そうねぇ、私と弟達を養ってくれる素敵な旦那様が出来たらかなぁ。」
「だから僕が養うって言ってるじゃない…結婚しよっか!」
口端を上げて冗談めかしに言うのは僕の悪い癖だと思う。
「ダメよー、可愛い弟に手なんてだせないよ。」
「弟、弟って‥そんな変わらないじゃん。」
「三つは大きいわよ?あーあ、総ちゃんが逆に三つ上ならなぁ。」
多分何も考えてないと思う、ただ何となく口しただけだと思う。
それでも僕に傷を付けるには充分過ぎた。
君は本当に残酷だね。
そうやって平気な顔して僕の心を引き裂くんだから。
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