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冷たい、一人の夜。
ばさりと舞い降りた真っ黒なそれ。
お前は、あれか。悪魔ってやつか。
そんな非現実な、ふざけたことがあるものか、
自分の思考に自嘲したけれど、
目の前のモノを無視することは出来ない。
ためしに頬をつねってみたけど、痛いから、夢ではないらしい。
その黒は、言う。
お前の魂をもらいに来た。
いかにもな低い声で、おそろしいことを。
あれ、でもそれって死神じゃなかったっけ。
そんなことをつぶやいてみれば、うるせえ、と文句を言われた。
お前って、悪魔だろ?
そうだけど。
危害なんて加えてこなそうな雰囲気だったから、話しかけてみる。
こんな悪魔って、居るのか。
いていいのか。
あまりにもフレンドリーな感じのこいつは、違和感ありまくりで、
はっきり言って、気持ち悪い。
よし、わかった。俺がお前を本当の悪魔にしてやる。
そう言ってやったら、眉間にしわを寄せられた。
なんだよ、人の親切を。
でもまあ、そのまま突っ立ってるから、勝手に進めることにした。
よし、決まり。これからよろしく、悪魔くん。
(あっ、悪魔くん!?)(うん、なに、文句ある?)(……いいえ。)
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