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……最期に君の笑顔が見られて
僕は、誰よりも幸せだよ。
ありがとう。
この3年間……
君の傍で、君のために生きることが出来た。
生まれてきて、よかったよ……。
ねぇ、僕の声……聞こえてる?
僕は……ずっと
……君が……す…………
……彼女は、左手に輝く指輪に見とれて、まだ気付かない。
喜びも悲しみも
ずっと、全てを共にして暮らしてきた相棒が
今ゆっくりと、眠るように、その短い生涯を閉じたことを。
海の色をした
使い古された小さな電子機器は
テーブルの片隅で、生きていた時と変わらずに
愛しい彼女を、見守り続けていた。
-携帯電話 完-
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