8人が本棚に入れています
本棚に追加
高校を卒業した私は、親の反対を押し切って、ひとり上京したのだ。
私には、夢があった。
……女優になる!!
あの輝く世界のためなら、私はこの一生を賭けることができる。
家族も恋人も、何も望まない。
私は町でも評判の美人の娘として、生まれたのだ。
中学でも高校でも、演劇部で一生懸命活動してきた。
厳しい世界だということくらい、知っている。
何をなくしても構わない。
私は、女優になるんだ。
女優こそ私の天職だ。
そう思っていたから、頑なに反対する両親のことが
急に邪魔でたまらなくなった。
「もういいっ!勝手にしなさいっ!!」
いつも優しかった母が、血相変えて私に怒鳴った。
「あぁ、勝手にするわよ!
こんな家、二度と戻らない!!」
売り言葉に、買い言葉。
親子の縁を切るかのような勢いで、私は家を飛び出した。
上京してからは、養成スクールのオーディションを受けて
大手のプロダクションに所属した。
……ほらね、言ったでしょ。
私が失敗なんかするわけないじゃない。
そう思ったのに……。
最初のコメントを投稿しよう!