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「黙れ」
しゃがれた低い声で、唸るように響く声。
「いいえ……!
だって、その姿こそが、本当のあなただもの」
「黙れっ……!!」
怪物は娘を突き飛ばした。
部屋の扉の近くまで飛ばされた娘は、ぐったりとなる。
「馬鹿な奴め……
なんて、愚かな女なんだ」
彼女の腕を掴んで持ち上げると、気を失っているのか
がくりと頭を垂れている。
ふいに、娘が哀れになった。
なぜだろう。
怪物のくせに、今更どんな情があるというのだろうか。
しかし現実に、そう思ってしまうのだから仕方がない。
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