孤高の鴉

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大樹は警戒レベルを最大まで上げ、先程よりも更に強い殺気を放った。 光輝ですら少し体の自由が奪われるというのに孝弘は何ら影響を受けているようには見えない。 「あんだけの爆発でこんだけしかダメージが無いっつーのはスゲーな。俺の体は鉄かなんかになっちまったんかな?」 孝弘は肩を回して少し余裕そうな表情を浮かべた。 孝弘は爆発といったが、恐ろしいのはそこではない。 本当に怖いのは、血属性の攻撃。 「お前……どうやってあの流星群を防いだ?何もせずに立ってたわけじゃねーだろ?」 ただ立ってただけなら、孝弘は確実に死んでいるか、もう動く事が出来ない程のダメージを負っているはずだ。 それが無いのだから、流星群を砕いたとしか思えない。 「ああ。砕いた。流石に一個か二個はくらっちまったがな。」 本来なら一個か二個くらっただけでも致命傷なのだが、孝弘はそこまでのダメージが無い。 大樹と同等か、それ以上の身体強化を纏っているのだろう。 更には流星群を砕いた孝弘の拳。 先程から感じている血属性の魔力は孝弘からであると大樹は確認した。 だが、それはそれで驚きであったりもする。 この世界で血属性が使える人間は大樹だけだったのだから。 「お前は何者だ?」 ただの一般人にはどこをどう見ても見えない。 「俺は寺嶋孝弘。ただの"高校生"だよ。」 「コーコーセイ?なんだか知らんが、ただの人間じゃない事は分かった。」 大樹の返した言葉に、孝弘は溜め息を漏らす。 「ただの"高校生"っつったろーが。なんで化け物みたいな扱いになってんだよ。」 少し雑談になってしまったが、また孝弘は大樹を殺すぐらいの勢いで睨む。 ただの"高校生"には殺気がコントロール出来ずにだだ漏れだ。 「何にしても、邪魔する奴は消し飛ばすだけだ。」 孝弘は拳を握り、大樹に突っ込む。 一瞬で大樹の目の前にやって来るが、大樹からすれば見えないスピードではない。 首を飛ばそうと刀を振るが、孝弘は頭を下げてそれを躱した。 そのまま大樹の腹に向けて拳を放つが、大樹は刀の峰で防ぐ。 「チッ!!」 大樹は次の一撃を放ちたいが、孝弘の拳が重すぎて次の一撃を放つ事が出来ない。
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