落ちこぼれの烙印

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ニ年の月日が流れた頃、大樹はボーッと微かに射し込む光を見ていた。 その目はすでに憎しみに染まっていて、憎悪の塊の象徴のようだ。 二年でいろんな事が変わった。 華恋も自分を蔑むようになり、咲や厳造の虐待は酷くなるばかり。 優しかった咲の姿などもはや忘れていた。 「光を知らなければ、光を求める事も無かっただろうな…。優しさを知らなければ、こんなに憎しみで心が満たされる事も無かっただろう…。」 ボーッとしていた大樹だったが、牢獄の扉が開き、目を扉に向けた。 そこにいたのはメイド長の「樹里ージュリ」であり、大樹に近づくと口を開いた。 「当主様がお呼びですので、お連れ致しますね。」 丁寧に大樹に礼すると樹里は拳を振り上げ、大樹の鎖に付けられた重石を木っ端微塵に砕いた。 樹里や他のメイドは大樹を慕い、大樹が牢獄に入る前はとても良くお世話してくれたいい人たちである。 「……悪いな。」 「いえ、私たちメイドは大樹様に付いていたこの重石が憎くて仕方なかったのですから。」 大樹にそう言うと樹里は微笑み、霧弥が待つ書斎へと大樹を案内した。 「あらっ?」 その途中で華恋に出合い、華恋は驚きながらも口を開いた。 「お兄ち……あなたのようなゴミがここで何をしているんです?まさかやっと捨てられるのですか?」 「当主様に呼ばれたから…そうかもな。」 大樹はそう呟くと、霧弥の待つ書斎へと足を早めた。 「捨てられたり……しないよね?」 華恋は心配そうにその後ろ姿を眺め、小さく呟いた。
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