目覚めと出逢い

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大樹はうっすらと目を開け、ボーッと白い天上を見つめていた。 ……生きてる。 体の感覚はしっかりしてるし、死んではいないと大樹は思った。 でも何故生きているのか、ここはどこなのかを考えていると、大樹のいる部屋の扉が開いた。 「あっ、起きたんですね?」 透き通るような綺麗な声が聞こえた方を見ると、金色の髪を靡かせた女性が立っていた。 腰まであるロングの金髪に整った顔。 まさに容姿端麗という言葉がよく似合う。 「ここは……どこだ?」 自分が生きているとか以前に場所を聞いたのは、目の前にいる金髪の女性の背中に純白の翼が生えていたから。 もはや自分は死んだと思ってしまう。 「ここは天界。まぁ…天国だと思ってくれたらいいですよ。」 「やっぱり……俺は死んだのか。」 痛くしてって言ったのにな。 ふと頭にそんな思考がよぎる。 「いえ、あなたは生きていますよ?」 「えっ?」 その言葉に大樹は驚き、思わず起き上がった。 「あなたはここに転移されてきたんですよ。最初は焦りましたが、体が傷だらけなので治療させていただきました。」 よく見ると自分の体に傷が無い。 だが、感謝はしたもののまだまだ疑問が無くならないのも事実。 「名前…名前を聞いてもいいか?」 まずは名前だ。 「あっ、まだ自己紹介してなかったですね。 私は天使の中でもえら~い天使の一人で、名前は「ナツ」といいます。よろしくお願いしますね。」 なんとも子供用な自己紹介である。
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