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いきなりだった。
それは唐突であって、そして一瞬の出来事。
一瞬、少年の目の前に何かが落ち、辺りが光った。
そしてニ秒程時間が経つと、遅れて大量の赤い光が落ちてきた。
「ひか……り……いや、炎だ。」
落ちてきたのは光ではなく、炎の渦。
そしてその中心に佇む小さな陰。
知識だけは膨大にあった少年も、目の前の光景には驚いた。
膨大な魔力を炎の渦の中心から感じるのに、それを纏うのは自分とあまり変わらない子供。
ガラスのように冷たい目をした、子供だった。
目の前の炎を纏う子供は自分と目を合わせると、小さな口を開いた。
「お前が呼んだんだろ……俺を。」
「僕が…呼んだ?君を?」
意味が分からないが、口が勝手に開いて言葉を紡いだ。
「ああ、呼んだ。だから来た。」
「何を言って……」
「大樹~~!!」
少年の声は誰かに遮られ、また誰かが降りてきた。
だが、その姿に少年は目を丸くした。
「おっ、お前は……」
降りてきたのは天使。
少年をこの牢獄に繋いだ本人であった。
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