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もう大樹が入ってしまったからそうでなくなったのだが、この牢獄はかなり機密な場所。
ナツは慌てて牢獄の大樹を追っていったが、大樹は炎を纏って長い螺旋階段の中心の空洞に飛び降り、そのまま一番下に降りた。
ナツは慌てて翼を広げて飛び降り、大樹を追ったにも関わらず大樹が速くて徐々にしか差が縮まらない。
ナツが一番下まで行くと、既に大樹と彼は話していた。
「大樹、今すぐ上に帰りますよ!!この少年は……」
「偉く厳重に繋がれてるみたいだけど、コイツは何かしたのか?」
ナツの言葉を遮り、大樹はナツに問う。
「いや…彼は……」
ナツは言葉を詰まらせ、時間だけが過ぎていく中、少年が自ら口を開いた。
「堕天使…なんだよ、僕。生まれたその瞬間から堕天使だった。だからここにいるんだよ。」
「それだけか?」
「えっ?」
大樹は大して気にする様子も無く、ナツも少年も驚いている。
だが、大樹からすれば堕天使など合った事も無いし、何とも思わない。
「僕が……恐くないの?」
堕天使は文字通り天使が堕ちた存在。
それくらい大樹にも分かる。
だが自分と少年が――重なって見えた。
「俺と……同じ目だ。優しさを知らない…忘れた目だ。」
少年は未だに唖然と大樹を見る。
大樹は魔力を鉄格子に流してを溶かし、少年の鎖を溶かした。
優しく微笑むと、手を差しのべた。
「俺と来い。お前が呼んだんだ。断る理由はねーよな?」
少年の瞳から、涙が溢れた。
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