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大樹は珍しく佳代の意見に反論した。
いや、珍しくというより初めて。
「意味が…わからないんだけど?何故今更学園なの?学ぶ事は無いはずだけど?」
嫌、という訳では無い。
ただ意味が分からないのである。
大樹の質問を聞くと佳代はホッとした表情を浮かべ、微笑んだ。
「なんだ、そんな質問ね。まさか大樹と光輝が反抗期になっちゃったのかと思ったわ。」
自慢でも無いが、佳代の大樹と光輝の溺愛っぷりは度が過ぎる。
一緒にお風呂に入るのを断られた時は一晩中枕を濡らしたものだ。
「それは二人が学園という物を知らないから。学園には素晴らしい出会いがあって、人と人を絆で結んでくれる、そんな場所。
二人は任務とかで今まで忙しかったし、休息として三年間を学園で過ごしてもらいます。
きっと大切な絆が見つかると思うから。」
佳代の言葉に大樹と光輝は少し困ったが、今まで返せない程の愛情を注いでくれた母の頼み。
断る理由は無かった。
大樹と光輝は頷き、佳代を見た。
「わかった。学園に通うよ。母さんの頼みでもあって、自分の為でもあるんだから。」
大樹の言葉を聞くと佳代は微笑んだ。
「じゃあ三日後、クロスフォード学園に行ってね。それまでに必要な物はこっちで揃えてるから。」
「わかった。じゃあ、任務に行ってくるよ。」
大樹と光輝はギルドマスターの部屋を出て、任務へと向かった。
「強く……生きてくれればいいのだけれどね。」
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