八年後……

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華恋は迷う様子も無く一直線に大樹へと向かってくる。 もう、気づいているのだろう。 昔は大好きだった兄なのだから。 華恋は大樹の前に立ち、スラリと動いた右手で大樹を指差した。 「あなた…間宮という名前は嘘なんじゃないですか?」 会話とは、挨拶から始まるものだというのに。 「かの有名な焔のお嬢様が転校生に何の御用ですか?俺は間違いなく間宮という名前ですが。」 まったくの他人を装えば、何とかなるだろう。 そう思っていたが、現実はそうもいかない。 「どうした…華恋」 ようやく黙っていた俊が口を開き、不思議そうな表情を浮かべた。 「俊…あなたは黙ってて。」 俊を殺気を放つ程に睨み、俊はそのあまりの恐さに黙り込んだ。 「大樹、もう行こうよ。」 光輝は大樹の肩に手を置き、この場を離れるように要求した。 大樹をこの妹の前に置いておくのは危険だと思う。 では離れるしかない。 「ああ、行くか。」 大樹は踵を返し、光輝と俊と共に歩き出したが、後ろから声が聞こえた。 「待って!!あなたは私の……お兄ちゃんなんでしょう!?」 華恋の一言は大樹に届き、その歩く足を止めた。 ほんの少し振り返り、口を開く。 「それは……今は死んだゴミの事じゃないのか?」 冷徹な瞳が、華恋を覗いた。
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