八年後……

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華恋はその場からしばらく動かないが、授業は進んでいく。 光輝や俊は少しばかり華恋の事を心配しているようだが、大樹はまったくの無関心であった。 「じゃあ模擬戦始めるから適当にみんなペアになれ。でなきゃ始まらねー。」 恭介の言葉でそれぞれがペアを組み出し、順番に闘技場のフィールドに上がっていく。 「じゃあ俊、僕とやろうか?」 光輝は大樹とではなく、俊と組もうと問いかけた。 理由は簡単。 勝てないから。 「いいのか、大樹と組まなくて?」 「いいよ、どうせ勝てないし…。」 今の大樹はそっとしておいた方がいいと、光輝は思った。 誰が見てもただの無表情で何も考えてないように見えるが、実際はイライラしているのが光輝には分かる。 長年一緒にいた賜物である。 ただの怒りか後悔か。 そこは分からない。 しばらくしてようやくフィールドが空いたのか、光輝と俊はフィールドに上がった。 「さて、光輝は光と闇の両方を持ってるやばい奴だからな。用心していかないと。」 「俊の実力、見せてもらおうかな…。」 光輝は右手に漆黒の魔力を集め、それは拳サイズの球体へと凝縮した。 「じゃあ、始めろ。」 恭介の言葉と同時に、俊が身体強化の魔法を纏って光輝に突っ込む。 この程度か、と光輝は思いながらも学生なら仕方ない、と向かってくる拳を躱そうとした。 が、俊の拳は光輝の頬を捉えた。 いきなり拳が加速したわけでも、体が動かなかったやけではない。 ただ、目線がもう光輝に向いていなかっただけ。 その目線は、何故か大樹へと向けられていた。
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