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光輝が殴られた瞬間、光輝が見ていたのは俊ではなく大樹。
油断したわけではない。
ただ、驚いただけ。
俊は光輝に一発入ったのが普通だと思っているようで、次の拳を光輝へと向けた。
「急がせてもらうよ…。」
光輝が小さく呟いた次の瞬間、勝負は決していた。
俊がゆっくりと崩れていくのだから。
「少し大人げなかったけど、今は……」
光輝は視線を俊から外し、大樹を見た。
大樹は華恋と話しているようで、光輝は大樹と華恋の会話を意識して聞きながらも俊を運んでいった。
大樹は光輝が俊と試合している間に、何故か華恋へ向かって歩き出した。
何を思っての行動かは、大樹にしか分からない。
大樹は華恋の前に立つと、華恋が不思議な目で大樹を見た。
「何の用ですか?私が気に入らないなら、もう関わりませんからご心配無く。」
自分で言ったものの悲しみが込もっている。
目を見れば分かった。
「気に入らないかは置いておいて、俺と模擬戦しないか?その方が今のお前は救われると思う。」
華恋は大樹の言葉に少し悩んだが、頷いた。
「いいでしょう。後悔させてあげます!!」
大樹はほんの少し笑みを浮かべると、華恋と共にフィールドへと向かった。
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