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華恋の頭上の炎は龍を象っていき、やがて完全な形を創った。
魔法を保つのが辛いのか、華恋の呼吸は早くなっていく。
「これで終わりです。私は負けられません!!」
頑固たる意志を瞳に込めて、大樹を見る。
大樹は何ら対策を打つわけでもなく、微かに笑った。
「最上級とは驚いたが、それで勝てるかな?」
大樹は再び華恋を相手として認識し、闘志を向けた。
「これが私のすべてですっ!!」
華恋は右手を振り上げ、大樹に向けて振り下ろした。
「地獄の業火よ、我に仇なす敵を滅ぼし、永遠の苦痛を与えたまえ。
ディ・フレイム」
華恋の頭上の炎龍は大樹へと向かっていく。
大樹はすぐに相殺しようとしたが、気づいた。
炎龍の炎の中に僅か黒色が混ざっていた事を。
「…………フッ。」
誰にも気づかれないような一瞬、大樹は笑った。
刹那、轟音が鳴り響く。
「そっ、そんな……」
華恋はゆっくりと崩れながら、震えた声で呟いた。
瞳が閉じると、そのまま意識は闇に沈めた。
「まさか……華恋がな。」
大樹はゆっくりと上げた拳を下ろし、安息の息を漏らした。
炎龍を拳だけで相殺し、相殺した拳の皮膚は焼けていた。
気絶した華恋の側に行くと、保健室まで運ぼうとしたが、急に右手を空に翳した。
次の瞬間、華恋の放つフレイムボムの倍はありそうなフレイムボムが大樹に降り注いだ。
爆炎がフィールドを包むが、突風が吹き荒れると大樹の姿が現れた。
「このタイミングで現れるとはな……
…………お姉様。」
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