1343人が本棚に入れています
本棚に追加
"お姉様"とは、大樹にとっては姉にあたる人物。
自らの心を風化させていった根源の人物と言ってもいい。
大樹を二年間虐待した張本人。
それが大樹の姉、「焔咲ーホムラ サキ」。
「何の用ですかね。焔の次期後継者様が…。」
スタンッと咲は大樹の前に降り立ち、大樹を見る。
「大樹…まさか生きてたなんて驚いたわ…。ずっと死んだと思っていたけど…。」
浮かべた表情は再会を喜ぶような笑顔。
だが、大樹も同じというわけではなく、いつも通り無表情。
「何の話ですかね?俺は焔なんて大貴族とは何の関係もありませんけど。」
思わずため息が漏れる。
「けど……」
咲を睨み、冷徹な殺気が咲を包む。
「妹がすぐ傍にいるのに魔法を放つのは感心しないな。気絶してんだから、当たったら致命傷だぞ!?」
「どうせ防ぐのはわかってたし、華恋に勝ったぐらいなら防げるでしょ?
そんな事より……」
深く、怒りに満ちた殺気が大樹を捉える。
「大事な妹をよくも傷つけてくれたわね、愚弟!!」
咲は大樹へと突っ込み、拳を振り上げた。
「だから……」
低い声が咲の耳に届いた次の瞬間、咲の体は吹き飛んでいた。
転がり、倒れる咲を大樹は見下し、聞こえるように呟く。
「弟じゃねーつってんだろうが!!」
最初のコメントを投稿しよう!