プロローグ

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大樹が生まれた次の年、焔にはまた新たな命が生まれていた。 「生まれたかっ!?」 相も変わらず咲や大樹の時と同じように焦る霧弥は茉莉のいる部屋の扉を開け、自らの妻に問い掛けた。 「そんなに焦らなくても赤ん坊は生まれてきますよ。」 「咲と大樹の時と何も変わっておらんな…。成長したらどうじゃ?」 茉莉は微笑み、厳造は呆れる。 「ですが父上、出産とは焦るものです!!」 「うるさいですよ霧弥。」 霧弥は茉莉に叱られて黙ったが、その霧弥の後ろから子供が二人、ひょっこりと顔を出した。 「お母さま、この子が僕と咲姉の……」 「妹よ、大樹。」 そこにいたのは咲と大樹で、大樹は驚くべき速度で言葉を理解し、歩けるようになっていた。 「妹…か。可愛いね。」 嬉しそうに大樹と咲は笑い、自分たちの妹を見た。 「名前は可愛い娘になるように「華恋-カレン」としよう!!」 霧弥が嬉しそうに言う。 焔に、大樹に妹が生まれた暖かい春の出来事であった。
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