落ちこぼれの烙印

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大樹は泣きながら謝るメイドに牢に監禁され、その日から大樹の生活は一変した。 焔以外からは落ちこぼれ、出来損ないと言われ、蔑まれる。 食事は一日に一回。 ほんの少しの光が射し込む牢獄には何も無い。 あるのは手足に付いた鎖だけ。 鎖には200キロの重石が付いていて、五歳の子供には動かす事も出来ない。 だが、それだけではない。 「へっへ~。今日も"修行"すっかぁ。」 牢獄の扉を開け、二人の男の子と、咲が入ってきた。 そして、入ってくるやいなや大樹に向けて魔法を放った。 「グッ!!」 慣れているのか、大樹は大した悲鳴を挙げたりはしない。 この二人の男の子は焔とは別の"雷"と"地"の子供であり、咲に呼ばれて毎日のように来ているのである。 咲は出来損ないが弟だという事が我慢出来なくて、霧弥や華恋の目を盗んではこうして大樹を痛め付けていた。 「あんたが…あんたが悪いのよ!!出来損ないだからこうして痛め付けなきゃならないのよ!!」 咲の魔法が当たっても、大した悲鳴は挙げない。 痛いのはむしろ心だから。 今まで優しかった姉が豹変したのが、大樹には悲しかった。 「ほらほら、もっといい声を聞かせてくれよっ!!」 霧弥が止めていないのか、厳造が許しているのか、それは大樹には分からない。 一時間ほど魔法を放ち続けていると魔力が無くなったのか、咲と二人の子供は満足そうに帰って行った。
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