孤高の鴉

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そこにいたのは大樹と光輝。 言わずもがな、世界最強の力を持つコンビであった。 異常なまでの魔力の放出を感じ取り、佳代から許可が出たのでやってきたのだ。 大樹は周りを見渡し、倒れているギルド員を見た。 知っている者もチラホラと目に入り、眉間に青筋が浮かび上がる。 「これ全部お前がやったのか?」 見た感じ自分と大して歳が代わらない目の前の少年がやったようには見えず、大樹は聞いた。 ポケットから再びタバコを取り出して火をつけると、口から煙を吐き出す。 「ああ。俺がやったんだよ。フサドって国にあの女の子が味わった苦しみを与える為にな。」 孝弘のその一言に大樹がピクッと反応すると、孝弘に殺気を放った。 「一人に対してこんだけの仕返しするってんなら……」 大樹は一瞬でその場から消え、孝弘の目の前に現れた。 突然の事に孝弘も反応しきれず、大樹は右手の拳を孝弘の腹に捩じ込む。 「かはっ!!」 刹那、大樹の拳は爆発を放ち、孝弘は百メートル以上後方に吹き飛ばされた。 「今度は俺が仕返しする番だ!!」 右手を空に翳し、赤色の魔力を凝縮させる。 「メテオブラッド」 空が黒く光り、数多に煌めく光が降り注ぐ。 全ての属性の頂点に君臨する血属性の魔力を膨大に込めた、魔力の流星群。 孝弘がいた場所は気づけば数多の爆発に包まれていて、見ている者からすれば生きてるという事を否定するような魔法。 だが、爆発が爆ぜた。 爆発がより大きな爆発に消し飛ばされ、そこから孝弘が飛び出して大樹の眼前へと迫る。 「オラァァ!!」 拳を大樹に向けて放つが、ガキンッという音が鳴り響いた。 驚くべきところはそこではなく、大樹がその衝撃で後ろに飛ばされた事。 大樹を見れば、一振りの黒い刀を持っていて、それで防いだのが分かる。 「これは……かなりの強敵だな。」 孝弘は致命傷どころか、少し火傷をおったぐらいのダメージしか負っていなかった。
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