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ざぁざぁ降る雨の音が耳にこびりつきそうだ。
サッカーの練習が出来ない憂鬱さと出掛ける事が出来ない苛立ちが混じり合い、億劫な気分でベッドに腰掛けた。
『暇だな』
『だな』
隣で、横になりながら本を読んでいる源田に話かけても生返事しか返ってこなかった。
源田も俺と同じように憂鬱で苛つき、尚且つ億劫なのだろう。
我が儘なのは承知だが、少しむっとしてしまう。
『本なんかより俺に構えよ』
のし、と源田の背中に乗っかる。
『今いいとこなんだけどなぁー』
『俺の方が大事だろ』
『うん、すっごい大事』
『……』
『不動?』
こちらを向こうとした源田の頭を鷲掴み、阻止。
小さく『いてっ』と聞こえてきたのは、無視。
『ふーどーうー』
『うっせぇ、こっち見るな!』
なんでだよ、なんなんだよ、と言うのも全て無視無視、
『(こ、んな顔、見せれねぇし)』
耳の先まで熱くなって、きっと今、俺はとてつもなく真っ赤。
そんなの見せたらこいつは付け上がるだろう。
(実際、以前にあったから分かる)
『あきお、照れた?』
『っ…!照れてねーし!』
ばし、と頭を叩いてやれば短い悲鳴をあげた。
にやにやしているのは見ないフリ。
雨はまだ、降っている。
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