鬼道×不動

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『今日はありがとう、不動』 綺麗にラッピングされた袋を片手に微笑みながらそう言われる。 馬鹿みたいに時間をかけて選んでいたせいで外はもう日が落ち、赤く暮れていた。 どうやら俺は半日以上こいつといたらしい。 『別に俺なんにもしてねぇよ』 『いや、一人じゃ恥ずかしくて店に入れなかったからな』 『…俺は二人でも恥ずかしかったぜ?』 『そうか?』 夕日を浴びながら二人並んで道を進む。 なんか、気の知れた友人みたい。 それが妙に気恥ずかしくて、俯いて歩いていた。 『そうだ…不動、手を出してくれ』 『あん?』 『ほら、』 『……?』 大人しく出した手に置かれた小さな包み。 やはり包み紙は可愛らしいピンク色、どうやらさっきの店で買った物のようだ。 訝し気に鬼道を見ると、目が合った瞬間ににっこり微笑まれる。 あーもう、かっこいい、やめろよ。 どきどきする心音を無視し、その包みを開けた。 『……嫌がらせ?』 『そ、そんなわけないだろう!』 中に入っていたのはキーホルダー。 緩やかに曲線を描く黄色いバナナ。 スポンジのような材質で出来ているらしく、指で押すとふにゃりとへこんだ。 『今日の礼だ』 『そりゃどうも…』 掌でぎゅう、と握りしめる。 柔らかいそれは形を変えて大人しく掌に収まった。 携帯電話にでも付けようか。 『まぁ、また何かあったら付き合ってやってもいいぜ?鬼道クン。…あんな店は遠慮すっけどな』 皮肉染みた笑顔でそう言ってやれば、鬼道は困ったように笑った。 『…にしても、ペンギン好きだよなぁ…』 『可愛いだろう』 『まぁ…うん…』
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