佐久間×鬼道

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揺らぐ赤いマントを眼前にして感嘆の溜息をつく。 気高く、美しく、全てを統べる帝王である、彼。 低い声は俺の脳に響き、鋭い眼光は俺の心臓に突き刺さる。 何度も何度でも貴方に深く心酔してしまう。 口角を上げて他人を嘲り笑い、弱い物を必要としない。 ただ貴方の傍に置いてほしい。 その一心でずっとボールを蹴りつづけた。 いつか隣に並ぶことが出来たなら。 その瞳に映ることが出来たなら。 甘やかな笑顔を見ることが出来たなら。 (『――佐久間、』) 蕩ける声色で名前を呼ばれる。 唇が俺の名を描き、嗚呼、幸せ。 (『はい、鬼道さん』) 他者を貶める貴方。 敗北を認めない貴方。 頂点に立つ貴方。 力を求め続ける貴方。 全部全部ぜんぶ、愛おしくて愛おしくて。
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