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「先生。どうですか?何か収穫はありましたか?」
「うおぉい!」
変な声を出してしまった。
いつの間に後ろに?
「先生、あまりの本の多さに気が狂いましたか?」
「そんなわけないだろう。辺銀に驚いただけだ。」
「ほう。」
信用されていない。
「よかった。辺銀君こんなところにいたのね。」
「ぬあぁい!」
変な声を出してしまった。
私の驚く姿は、まるで獣のようだ。
学生時代、そう何度、友に言われたことか。
「六篇さん。図書館ではお静かに。」
「…すいません。」
「館長。どうかしたのですか。」
「いえね。いくらなんでも、一緒にいる人がこんな恰好じゃ辺銀君がお気の毒で。といってもあなたじゃ、服のことが分からないだろうと思って、私のいらなくなった服を持ってきたの。体のサイズは同じぐらいだろうから、着れると思う。」
「は?いや、服ぐらいは自分で。」
「いいえ。せっかくなのでいただきます。」
「…辺銀。お前…楽しそうだな。」
今にも笑い出しそうな顔をしているぞ。
「辺銀君がそう言ってくれると嬉しいわ。じゃあ、はいここに置いておくから忘れずに持って帰って。」
カウンターの内側に置かれた紙袋には、
衣服がこれでもかというほど詰まっている。
…。
一番上にはひらひらのスカートが…。
あれを、私に履けと言うのか。
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