3,先生に穴

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フローリングの上に、ベッドとちゃぶ台しか置いていない殺風景な部屋の中。 カーテンさえもない、この部屋で私は外出の相談をしていた。 「何故、外出をするだけでも普通の人の何倍も苦労をする僕に対してそんな相談をするんですか?無意味な行動ですよ。」 「そんなことを言われてもさ、しょうがないじゃん。」 ピーンと来た。 辺銀の表情がそう語る。 「先生。僕は先生の悲しい現実に、気づいてしまいましたよ。先生は、知り合いがいないんですね。」 「う…」 「友達がいないんですね。」 「うぅ…」 そんな、したり顔をするな。 そしてそれ以上に言葉をつなげてはいけないッ 「僕以外には。」 「う!!」 「うぁ…」 辺銀は、あろうことか言葉にもならない声で私を馬鹿にした。 こんな時、恥ずかしさと悔しさを堪えるために握る絨毯もこの家にはない。 私の手は宙を握りしめる。 「屈辱。」 このままふて寝したい気分である。 「仕方がないじゃないか。私はこの街に引っ越してきてまだ一年もしないし、家からほとんど出ないから知り合いなんて言える人はいないんだよ。」 「先生は家に引きこもりすぎて、体調不良に陥り精神科の病院に行くような人ですものね。そりゃ知り合いだっていないはずですよ。これ以上僕が描く作家という職業に泥を塗らないでいただきたい。」 両手をついて謝りたい気分である。
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