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しかし、老人はこんな所に少女一人では危ないと思い家へ運んでやった。
老婆も少女の返り血と生首に悲鳴を上げたが、少女を介抱してやった。
返り血を洗い落とし着替えさせ寝かしつかせた。ただ、生首だけは絶対に離さなかった。
しばらくして、少女は目を覚ました。老夫婦は安堵の息をつく、少女は辺りを見回して夫婦を見つめた。
「ここは、どこ?」
その問に答えたのは老人だった。
「お前さんは林の奥で倒れていたんだよ。あんなところに一人にさせるのはまずいと思ってね、ワシらの家へ運んだんだよ。」
老婆が少女に茶の入った湯飲みを差し出してニッコリと微笑んだ。
「行く当てがないならここにすまないかい?私達には子供も孫もいなくてね、寂しい毎日さ。」
「私は・・・帰る場所がないの・・・村も皆、戦でなくなった。だから、こんな私でよければ。」
老夫婦は喜んだ、子に恵まれなかった二人に娘ができたような喜びだった。
「お前さん、名前は?」
その問に少女は淡い笑みを浮かべて
「月(つき)っていうのよ。」
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