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しばらくして、異変はおきた。
老人が、畑仕事に復帰した。医師が診察してもどこにも異常が見当たらないらしい。
平然と桑を持ち土を耕しては種をまき、老人はとても喜んだ。
「ああ、月。お前さんのくれた種のお陰だよ。これからもずっと一緒にいておくれよ。」
老人は種を小さな小袋に入れ首にぶら下げて大事に持っていた。
月はそれを見て嬉しそうに微笑み老人の手を握った。
「私も、お爺さんが元気になってくれて嬉しいわ。その種はね、戦で亡くした恋人の亡骸から見つかったの。
よくわからないけど、これをもっていたらみんなすごく元気になるの!
これは恋人がくれた『神様の雫』なんだわ!」
嬉しそうに無邪気に話す月に老人は「ああ、そうだねぇ。」と相槌を打つように頷いた。
「おじいさん、月。お昼の用意ができたからこっちにいらっしゃいな!」
老婆が家から二人を呼ぶ、老人はそれに「今行くよ」と応えゆっくりと立ち上がり自宅へと向かった。
それを、後ろから見た月は種を思い出したようにクスリと嗤った。
「ほんと、人って馬鹿よね―風雅様vvv」
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